「比ぶべくもない」が正しい。

とある書籍の赤字修正をしていて、とても気になる場所がありました。

「…とは比べるべくもない」という部分が「…とは比ぶべくもない」と赤が入っていました。

ん?と思って検索をしてみると、「比べるべくもない」では意味が辞書に入っておらず、「比ぶべくもない」のページが表示されます。日本語としては「比ぶべくもない」という用法しか存在せず、「比べるべくもない」は間違った使い方なんですかね。

くらぶべくもな・い 【比ぶべくもない】
(連語)

比べることもできないほど差が大きい。格段に違っている。比べ物にならない。(三省堂 大辞林より)

私は全く知りませんでしたので、ちゃんと国語を勉強しないといけないなと思わされましたね。



まあ私が勉強不足なことは置いておいて、検索していると普通に「比べるべくもない」と使っている人もいたので、これはなかなか面白いぞと思い、いくつかのサイトで検索を続けてみました。

サイト名 比ぶべくもない 比べるべくもない
Google 約477,000件 約5,140,000件
Yahoo! 約553,000件 約6,230,000件
bing 37,500,000件 51,300,000件
はてな 約9,500件 約706,000件
Wikipedia(本文に含まれている記事数) 1件 8件
Cinii(全文検索 85件 72件

この結果をみると、みんな間違って使っているような気がしますね。
GoogleYahoo!の検索では桁がひとつ違いますし、はてな内の検索では桁がふたつも違います。bingはポータルサイトのなかでは「比ぶべくもない」の数は多いですね。

wikipediaでこの言葉を使う機会が少ないのはわかるんですけど、きちんと使えている記事がひとつしかないのはね。。。
ポータルサイトの検索では圧倒的な差があるので、Ciniiの結果をみると「やっぱり論文はしっかりしてるな」と思ってしまいますが、それでも半分(約45%)がきちんと使えていないんですね。まあ、全文検索といってもbetaと書いてあるので、どこまで検索しているのかはわかりませんが。

みんな意識せずに使っているんですかね。



翻訳サイトでもやってみました。
エキサイト翻訳で「比ぶべくもない」を翻訳すると「There is also no 比ぶべく. 」で、再翻訳すると「比ぶべくはさらにありません。」となりました。
一方、「比べるべくもない」を翻訳すると「it should also compare -- there is nothing」、再翻訳で「さらに、それは匹敵するに違いありません -- 何もありません。」となります。

Google翻訳で「比ぶべくもない」は「There is no department in order ratio」、再翻訳すると「次数比には部署がありません。」となりました。
「比べるべくもない」は「No order to compare」、再翻訳で「比較するためにしない」。

翻訳では「比べるべくもない」の方が意味が通りやすい気がします。エキサイト翻訳では「比ぶべく」という名詞になってしまうようですし(笑)


そうそう、Google日本語入力で「比べるべくもない」は変換候補に出るんですけど、「くらぶべくもない」と入れても変換候補に「比ぶべくもない」は出てきません。わざわざ辞書に登録しましたよ。


日本語は難しいです。

オチはありませんが、以上です。