フラーに、すっごく軽く触れる。

久しぶりのstudyタグ。
レポートに関してちょっと意見したい事があったので書いてみます。


フラーの宇宙船地球号操縦マニュアルの中で、「シナジー」と「シナジェティクス」という言葉が出てくるのですが、何ともエゴイスティックだなぁと感じました。


まず、シナジーという言葉の意味ですが、本の中でフラーは「システムのなかの別々の部分、あるいはそうした部分の寄せ集めの振る舞いをバラバラに見ていても、決して予想ができないような、そんなシステム全体の振る舞い」の事だとしています。今簡単にYahoo!辞書で調べてみたら「共力作用、協同」「(筋肉などの)共力作用、(薬物などの)相助作用」とあります。ついでにwikipediaでも見てみましたが、相乗効果という項目に飛ばされました。

書中にありますが、フラーの言うシナジーという言葉は一般的ではなく、化学の分野において本質であるとしています。簡単に調べて出てくるような言葉にも、他の物との関係性に関する言葉がありますが、それらは関係性そのものに関する言葉であって、フラーの言うシステムの様子のような意味が内包されていません。

一般的な人びとの大多数がシナジーという言葉を理解していない、知らないということから、「世界中の人間はあきらかに、部分からは予想もつかない全体システムの振る舞いがあるとは考えていない」としています。「知らない」ということがその結果として出ているのはわかるし、その要因として「専門分化の行き過ぎの結果でもある」と述べていることから、理屈も通っていると思います。

ここからまたごちゃごちゃとあるし、まだ読めていないので割愛しますが、「シナジー」や「シナジェティクス」という言葉を理解した上で、地球を自由に乗りこなそうよ、という論法だと思います。



そこで始めに戻るのですが、エゴというかインテリ臭というか突っぱねたくなるような感じを受けます。説教臭さというか、特権階級意識というか。でもちゃんと読むとかなり納得してしまいますが。


そうした反発心みたいなものは、余りに検証する対象が大きすぎる事にあるのかなと思っています。

世界や地球という言葉とか意味は知っています。どんな形をして、どんな物なのかも知っています。そんな事はみんなが知っています。宇宙という言葉も、太陽系という言葉も知っているし、いろんな事を知っています。

でも、その実態が何かは知りません。自分と地球、自分と宇宙が何かの関わりがあると思った事はありません。世界のどこかで起こっている戦争と自分の存在に因果関係があると思ったことはありません。食事をする事とスペースシャトルの関係なんて考えた事ありません。公園で遊ぶことと宇宙の出来事に、何かしらの関係があるとは考えた事がありません。

でも、フラーはそんな事を大真面目に考えていたようです。世界で今起きている事象と自分の存在との関係を考えていたようです。宇宙とか世界を言葉の上で弄り倒すのでなく、積極的に宇宙に、世界にアプローチしていった人物だと思います。



こうしたフラーの人物像は講義で学びましたが、それを考えた上でさっきの反発心の正体を見極めると、自分とは全く違う人間、明らかに異人なのだなと思います。偉人であることは認めるし、認められているけれども、普通の偉人とは違うプロセスで生きているというか。仙人みたいな存在だなーと思います。

インテリとか説教というイメージではなくて、全く違う世界の理で生きている人なんだろうと思うし、自分にはフラーのような生き方は無理だと思います。






という具合です。

あとシナジーという言葉が全体のシステムを理解する上では、あらゆる分野を総括しなければいけない、とするなら、と考えて、今和次郎と同じプロセスを辿っているのではと思いました。和次郎は、建築だけではなくて風俗や生活、服飾などの多岐にわたる研究を通して、人間の生活を見極めようとしていたように思っています。フラーは理系バリバリで、和次郎は思いっきり文系なので、学問的には正反対に位置しますが、その2人が同じような方法論を模索していたのは面白い事だと思います。