仙川の安藤忠雄ストリート。

久し振りに仙川に行きました。学校に行く回数が減っちゃって駐輪場の契約も切れてます。なので最近は烏山に行くのが普通になってるんだけど、今日は仙川に用事があったんで。auの携帯電話を解約するために行き、これでようやく1台持ちに戻れます。誰でも割の解除料が必要なのは知っていたけど、もういいやと。面倒だからね。


というのは置いといて。今回は携帯電話の話ではなく、仙川の町についての話です。

仙川では現在も安藤忠雄の計画が進められています。安藤ストリートと呼ばれている建築群で、TAMと略す東京アートミュージアムや集合住宅、テナント、劇場などが造られています。その中から今回は、テナントの建物について気になったことから書いてみます。写真は全て建築群のひとつ「仙川デルタ・スタジオ」のものです。

まぁ建物自体の感想としては、ずっと前にも書いた覚えがあるけど「いかにも」って感じですが、とても現代的でスマートな建物だと思います。コンクリートはコンクリートだけど、それ以上にガラスの存在感が大きく、全ての建築群で共通した使用されている垂直方向に伸びたガラスと鉄骨が、この通りにリズムをもたらしています。もちろん仙川以外にも安藤建築はありますが、通りの両側に安藤建築が続いているのはとても面白い風景だと思うし、特別な場所だと思います。


まぁほめるのはここまでにして、ここからは批判というか問題というか、ちょっと苦言を呈したい点があります。とはいっても、建築に対するものではなくって、これらの建築群を含めた周辺環境についてです。

仙川デルタ・スタジオには「テナント募集」の張り紙がありました。7つのテナントの内3つしか入っていない模様で、法律事務所と美容室が3階に、2階にあと1つ何かのテナントが入っていました。テナントが埋まらないっていうのも問題あるけど、1階が開いてるのは勿体ないよなぁと思う。集住の方にも半地階にテナントがあるんだけど、そっちもまだいくつか空いていたと思います。そっちは婦人服を扱うお店やヴァイオリン等を扱うクラシック系の楽器屋さんとかが入ってたように記憶してます。

正直に言ってしまうと、決して人を集めるようなテナントが入っているとは言い難い。法律事務所も美容室も楽器屋も人を選び、用が無ければ立ち寄らない店です。婦人服のお店も若い人向けではなくて、中年の方をメインターゲットにしていたと思うので、そうした方以外には馴染みの薄いお店です。他のソフトとしては、TAMだけでなく小さいギャラリーもあり、美術品などの点では人を集めることは出来ると思うけど、それ以外のソフトは弱く、現状では人が全然歩いていません。

まぁ「商店街の集客力には敵わない」ということに尽きます。駅から車道を挟まずに繋がっている商店街には、多くの飲食店やスーパーがあるし、美容室もいっぱいあって、そっちで事足ります。神代高校、桐朋学園というふたつの学校がありますが、そうした商店街が通学路になっていて、そうした場所性で繁盛するのは当然で、安藤ストリートは商店街とは全く繋がっていません。安藤ストリートには学生が行きたくなるようなお店、例えばゲームセンターやカラオケはないし、ファーストフードなんかもありません。商店街の方には、それらのお店があるし、娯楽施設でいえばパチンコなんかがあるし、夜のお店なんかもある。負けに負けています。

普通、バイパスってものは既存の道の混雑を避けるためにつくり、違う道を通してそちらも発展させて盛り上がる範囲自体を広げる効果もあると思います。繁華街であれば、裏通りを盛り上げることで、表通りが盛り上がったりもするけど、それが安藤ストリートにはないのかな、と思います。始点も終点も繋がっていないバイパスで、裏通りとして盛り上げるソフトも持ち合わせていない。これはとても勿体ないです。

ほんの少しの改善をするとするなら、例えば小さい公園のような休める場所なんかがあればイイかなと思います。仙川に対する個人的なイメージとして、電車に乗るために仙川を利用する人は多いけど、それ以外に主婦の方や子供が多かったりするイメージを持っています。それこそ安藤忠雄ストリートでも集合住宅を造っているのだから、商店街の方に向けて空地があれば人を引き込めるんじゃないかと思う。駅前の小さな広場はいつも人がいっぱいいるし、クイーンズの前には公園がある。そうした場所に限らず、仙川では立ち話をしている人をよく見かける。公園に近いスタバやフレッシュネスの辺りは、オープンカフェ風になっていて、とても開放的な雰囲気になっていて明るいイメージがあるし、いつも人が溢れていて活気があります。都市計画的には「スッゲー理想的」ともいえる風景が広がっちゃってます。こうした雰囲気を安藤建築の方まで繋げることが出来ればいいんだけど。


ところで、クイーンズの対面にはブロードスクエアという長い建物が建っていて、それの奥に安藤建築が建っています。クイーンズからブロードスクエアの前面までは人が多いし、お店も多いので繁盛しているイメージがあるけど、あの建物で全ての人の流れを受け止めてしまっていて、後ろに流れていきません。クイーンズからは安藤建築が全然見えないし、隠されてしまっているともいえます。バイパスの話でいえば、ブロードスクエアのある通りが商店街のバイパスにあたっていて、そのバイパスの裏にまたバイパス造っちゃったって感じだと思います。もったいない。

色々と批判的な記事もあるようですが、単に安藤ストリートを槍玉にあげるのは見当違いかなと思います。現時点では、商店街に比べてソフト面では確実に劣っています。けれど、テナントは徐々に埋まっていくんじゃないかと思うので、発展する可能性はあるはずです。それよりも問題として取り上げなければいけないのは、本当ならば安藤建築の方まで繁華街が広がるはずだったのに、その手前で流れをせき止めてしまっているブロードスクエアの存在かと。

まぁ今さらしょうがないけどね。少しでも盛り上がってほしいです。



こちらは現在建設中の集合住宅で、住友と共同でやっているみたいです。現在、杭打ちをやっているようで、良い建物が出来て欲しいです。