「ちひろ美術館・東京」へ行ったこと。

そういえば、内藤廣さん設計の「ちひろ美術館・東京」に行ってきたのを忘れていました。
ちょうどいま内藤さんの仕事にちょっとだけ関わっていることもあるし、ちひろ美術館の話を内田祥士先生の講義で聞いたことがあったので行ってみました。

「1977年9月、ちひろの死から3年後に、世界で最初の絵本美術館としていわさきちひろ絵本美術館(現 ちひろ美術館・東京)は開館し(ちひろ美術館HPより抜粋)」たもので、いわさきちひろが東京で過ごした自宅兼アトリエ跡に建てられています。さらに、この絵本美術館の開館20周年を記念して、安曇野ちひろ美術館が設計されました。さらにその5年(絵本美術館開館から25年)後に、全館バリアフリーの建物に生まれかわっています。



建築を勉強していたことを受付で伝えると、作品が映らなければ展示室のなかも撮影してよいと許可をいただけました。ですが、展示室の壁という壁には作品が架けられているので、展示室のなかで撮影できたのは上の写真ぐらいです。これは展示室の入り口上部を写したものです。

建物は分棟形式なので、展示室が連続しておらず、展示室に入るには、オフィスビルのエントランスのような風除室よろしく、自動ドアを二枚通過します。この写真からわかるのは、展示室入り口の天井が一段低くつくられていることです。少し狭い空間を通っていくことで、展示室を広く見せる手法はよく見られますが、この美術館では「こどもの目線」で建物を見ることでそれがより強調されているように思います。
架けられている作品がことごとく俺の目線には合わず、周りにいた親子の目線にはぴったり合っていたり、天井が傾斜していたり。子どもの目線から見てみると、とても迫力のある空間に感じました。


展示室には書斎も再現されていて、当時の創作風景を想起させる展示もありました。また、敷地はいわさきちひろの自邸跡なので、館内には庭も再現されているようで、上の写真は建物内から庭をみたものです。敷地内には樹木が多く植えられており、分棟形式にしたのは庭などを残すためでもあったのかもしれませんね。建て替えに際して当時の記憶や風景を留めるという目的があったのかな。


エントランスそばのカフェラウンジではYチェアが何脚も使われてましたよ。圧巻です。
テーブルは何かわかりませんでしたけど、こっちも高いんだろうなぁ。ちらっとググってみたら、正規品のYチェアは一脚で約10万円。テーブルも同様の値段だとすると、見えるものだけで約270万円ですよ。。。
一般の企業ならリプロダクトでもいいですけど、ちひろ美術館だし、内藤さんだしってことを考えるとね。


その他の感想としては、竣工して10年だけど「外壁がきれい」だなと。混構造のメリットのひとつにメンテナンスの容易さという点もあるのかなと思いました。