『千年女優』『イノセンス』

借りたアニメ映画。

千年女優 [DVD]

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前から借りてみたかった作品。パッケージを見てるだけでも面白そうな感じではあったんだけど、前にアニメ夜話(だったかな?)で特集されてたのを見ましたが、面白い作品だなぁと思い借りてみました。やっぱり面白い。

現実と虚飾が絡み合う感じ。といっても作品よりもまずアニメ夜話を見てしまっていたので、岡田斗司夫の「これは現実なのか妄想なのかを考えながら見ていた」的な発言が頭にあり、作品にのめりこむ事は出来ませんでしたが、とっても優美な感じを受けました。また、山本晋也監督が喋っていましたが、映画の全編に大正・昭和の映画がオマージュとして入り込んでいるようなのですが、当然俺はわかりませんでした。。。ゴジラだけ。。。笑

作品自体はとっても素敵な作品だと思うので、唯一失敗だなと思うのは、全部妄想であるとかないとか喋ってる岡田斗司夫の発言を先に入れてしまったことだなぁ。。。素直に楽しめればねー



イノセンス スタンダード版 [DVD]

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もう一作は、イノセンス

TVシリーズは2周見ましたが、映画1作目は見てないので感想は書けませんが、イノセンスはその映画の続編のようです。もう何を言ってたか忘れましたが(笑)、ひとつ印象的な文章があったので挙げてみようかなぁと。原文通りでは無いですが。。。

  • 子供は人間ではない。人間というのは理性を持って生きている生物の事であって、子供は理性を持ちえていない。だから、子供の人形遊びというものは、育児を模倣したものではない。実際の育児と子供の人形遊びが似ていると言うならば、育児が人形遊びに似ているといえるのではないか。


みたいな言葉です。
TVシリーズを見ている時にも度々出てきますが、聖書や偉人の発言の引用があります。その引用元の事がわからないので、なんとも言い難いですが、この発言もそうなのかどうか。。。アニメ夜話での発言だったかと思いますが、押井監督はそうした偉人の著書や図像学だったりの本をよく読んでいるようです。鳩だったり犬だったりもなんかの象徴だと聞いてます。

自分的には択捉経済特区へ行った時の街の風景にはヤバい感じを受けました。鉄塔がいっぱい建ち上がっている状況自体がまずあり得ないし、雲ではなくスモッグが充満している状況は怪しい世界で決して正常な世界ではない状況を予感させます。
塔とかビルっていうのは、単純に権力や金銭の象徴だし、重力に逆らって天に伸びるというのも男性器を象徴しています。権力や金銭への欲望というのもそうだし。けれど出来そこないのくたびれた鉄塔と汚れたスモッグという状況は、決して純粋な欲望からのものでなくて、下種い欲望からのものだなぁと感じますね。
これはバトーとトグサが喋っている通り、択捉経済特区へ海外資本を始めとした様々な利権が絡み合っているのだという下種い会話からも想像出来るものです。鉄塔、霧、夕陽といった状況だけなら綺麗な情景だと捉えることも出来るはずですが、そうではなく汚いものとして見えるのはストーリーとして、そう「見せている」のだともいえます。


パレードの部分も面白かったですね。択捉という場所がこの世界ではどういった扱いなのかは知りませんが、アジア的な場所であり多国籍な人間がいる中で無国籍な雰囲気を漂わせ、またパレード的な行脚が行われている状況からそれなりのコミュニティが形成されているのでは、と推察出来ます。その中で登場した日光東照宮をオマージュしたような極彩色の木造の門みたいなのがね。。。
別に東照宮は現在の日本人を象徴しているわけではないけれど、実際に建っているという事は何かしら日本人の心の通底にあるものなのかもしれません、俺が気付かないだけで。もしくは日本人を意識したのではなく、庶民的な欲望を表したらああなるって事かな。建築の歴史上の見解としてよく、高尚なものと低俗なものって分けている事がありますが、東照宮は低俗と分類されるほうのもので、庶民の建築とかなんとか考えられています。アホな考えだとは思いますけど、確かにあります。。。

金に狂っている下種な状況を、そうした低俗だと考えられている建築で表現している。


のかなぁ。。。なんて思いましたー。



ちょっと長いっすね。