『燕のいる駅』をみた。

三鷹市芸術文化センターで行われている、土田英生セレクションvol.2『燕のいる駅』を観ました。

前回、吉祥寺シアターでMONOのお芝居を観て気になっていた土田さんの作品ということで行ってみました。


三鷹市芸術文化振興財団のHPでインタビューが掲載されています。そこでも言われていますが、終わる世界で人はどうなるかということが念頭に置かれていました。震災以前に脚本が書かれていて、『去年の震災以来、どの劇作家の方も、一度「震災後」というフィルターに通した作品を作ろうとされている中で、そのことを意識する以前に作られたこの作品が、どういう舞台になって、自分自身がどういう風に演じていくのかは、本当に楽しみです。』ということらしいです。脚本の直しももちろんあったと思うし、演じる役者さんにとってもより真剣に演技ができるのではと思います。

どのように脚本が直されたかは知りえないけど、セリフの端々に「戦争」という言葉が使われていて、そこは直していないように感じました。何が起こっているかはわからなかったり、言い得ない不安というものを「戦争」という言葉に当てはめていたけれど、3・11というフィルターを通したことで、脚本家も役者も観客も「戦争」を「震災」とか「天災」に置き換えて見ることができたように思います。

このお芝居だけじゃなくて、3・11後の世界ではパニック物のフィクションをリアルに感じることが出来るようになっていると思います。それこそドラゴンヘッドとか日本沈没とか、3・11前にはありえなかったことが、かなり現実味を帯びた状態で見ることができますね。




お芝居を観ていて久しぶりに鳥肌がたったんですよね。

酒井美紀さんの「不安じゃない」って言葉があったんですけど、それまでわりと不思議なキャラクターだと思っていたんですが、そのあたりのセリフがとても良かった。わざとやっていたりしているのではなくて、本当にそう思っている感じが、感動したというより狂気に近いものも感じたし。
言ってることは正しいし、あんな女性がいたら素敵だと思うけど、その他の可能性を最初から排除しているような雰囲気もあったからなあ。素敵だけど怖いという印象でした。


そんなセリフも含めて酒井美紀さんが可愛すぎました。とても素敵でした。

そういえば三鷹市芸術文化センターも初めて行きましたが、ホールは狭い印象でしたね。